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ベスト8 EYES

春季東京都高等学校野球大会

2014-04-26

準決勝

関東第一高校vs帝京高校4 - 3

 

この試合、中盤までは完全に帝京ペースだった。5回まで毎回ランナーを得点圏に進め、いつ点が入ってもおかしくないような状況がずっと続いていたが、あと1本がなかなか出ない。そうこうしているうちに6回関東一がワンチャンスをものにして先制し、関東一が流れを引き寄せていった試合だった。

さらに帝京は終盤、関東一の守備の乱れで得たチャンスをも、ものに出来ず敗れたことを考えると、非常に悔いが残る負け方だったと思う。特に8回の攻撃がこの試合、流れを引き寄せきれない帝京を象徴していたイニングだった。

0-2で迎えた8回裏の攻撃、帝京はツーアウトながら四球で出たランナーを2塁へ進めた。ここで打席に入った中道の打球はピッチャーゴロ。球場にいた誰もがスリーアウトチェンジと思ったところ、関東一のエース羽毛田の1塁への送球が、ファーストの遥か頭の上を越えるまさかの大暴投に。これでラッキーな形で帝京が1点差に迫る。続く川本はしぶとく内野安打とし、ツーアウトランナー1、2塁となり、再び帝京は得点圏へランナーを進める。

帝京は1番に回り打席には鈴木が入るが、ここでまた信じられないことが起きる。鈴木の打球はひっかけた何でもないセカンドゴロだったのだが、今度は関東一のセカンド篠田が落球してしまう。

このエラーでツーアウトランナー満塁に。帝京にとっては完全にもらったチャンスだったのだが、次打者がファーストゴロに倒れ、絶好のチャンスを活かせない。この8回は2度も、関東一からまたとないチャンスをもらいながら同点にすることができず、この試合の帝京の試合運びを凝縮したかのようなイニングだった。

このように帝京側から見たときにはもどかしい試合だったが、この試合1つポイントを挙げるとすれば、9回裏1点差のツーアウト1、3塁、しかも帝京のバッター川本の2ボールという緊迫した場面でマウンドに上がった関東一の田邊の堂々たるマウンド捌きだ。

この試合、苦しみ続けていた帝京が土壇場で1点差に詰め寄り、なおツーアウトながらランナー1、3塁と粘りを見せたのだ。マウンドに上がった田邊は3塁ランナーだけでなく、1塁には逆転のランナーまで背負うことにり、さらにバッターが変わるタイミングではなく、2ボールという場面での継投。

この継投の決断をした関東一のベンチにも驚いたが、その期待に応えた田邊の投球にはもっと驚かされた。田邊の実際の心理状態はどうだったかは分からないが、少なくとも、端から見て落ち着き払い、帝京へ動揺した様子を全く見せなかったのは見事の一言だった。結局フルカウントになったが、しっかりと川本を打ち取り、ゲームを締めたのは圧巻だった。

この場面のように、帝京を上回る関東一のここぞという場面の集中力が、この試合を勝利に導いた大きな要因と言える。

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