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秋季東京都高等学校野球大会

2013-11-10

決勝

二松学舎大附高校vs関東第一高校6 - 7

 

延長までもつれた試合だが、野球少年にも分かる野球のセオリーというものを教えてくれているような試合だった。「負けに不思議の負けなし」という言葉を野村克也氏がよく使うが、まさしくその言葉がぴったり当てはまる試合だったように思う。

勝って優勝を決めた関東一高だが、この試合は打線が思うように繋がらなかった。安打数は6本。
一方、敗れた二松学舎大附は13本。関東一高の倍以上の安打数を放ちながら、何故二松学舎大附は敗れてしまったのか。

それは与四死球と失策の数が示している。与えた四死球が10、失策が4。これだけ相手にチャンスを与えては勝てる試合も勝てない。それでも延長まで持っていった二松学舎大附は逆に言うとよく粘ったとも言える。 野球だけでなくスポーツ全般に言えることではあると思うが、ミスした方が負ける。「野球で言えばエラーや、余計な四死球がそれにあたるんだよ」と野球の神様が改めて教えてくれたような試合だった。

ただ、勝った関東一高にも、記録には現れないミスがあった。
5回表の二松学舎大附の攻撃。1死1、2塁で5番の秦が放ったセンタ―への鋭いライナーを放ち、記録上は3塁打になった場面。

この場面でセンタ―の熊井がダイビングキャッチを試みたのだ。
1点勝負ではない場面の上、アウトにするにはかなり無理があったような打球だったので、シングルヒットで止めておくべき場面だったように思う。この2点で一気に二松学舎大附の雰囲気が変わったのも事実で、関東一高が苦しんだ原因のプレーの一つかもしれない。

このように、勝敗を分けた原因が比較的分かりやすい試合ではあったが、実はあまり気づかれないような試合を左右するプレーもあった。

1回裏の関東一高の2点目を呼び込む、2死からの盗塁だ。

実は、盗塁後の打者の打球は少しバウンドが高いゴロだったが、平凡なショートゴロだった。だがショートの竹原が捕球の際、一瞬待ってしまった。そのため通常のような捕球後のリズミカルなステップが踏めず、ワンステップで送球をしないといけないような姿勢となったため、いつもより強く送球しなければならないということで力んでしまったように感じた。これが悪送球をよび追加点を与えてしまった。

このシーン、盗塁がなければ、待って捕球しても2塁にトスすればアウトが取れたシーンだっただけに、非常に印象的に残るシーンだった。これはあくまでも結果論だが、この1点が試合の勝敗を分けたとも言える。

こういった何気ないワンプレーも試合を分けるということも、野球の神様は暗に教えてくれていたのかもしれない。

劇的なサヨナラ勝ちで優勝を決めた関東一高は、明治神宮大会への出場が決まっているので、そのままの勢いで勝ち上がって欲しい。一方、二松学舎大附も無駄な四球を出さないよう投手力を上げて、また一段レベルアップし、悲願の夏の甲子園出場を目指して欲しいと思う。

試合詳細はこちら