ベスト8EYES

  • TOP
  • >
  • ベスト8 EYES
  • >
  • 春季東京都高等学校野球大会 関東第一高校 vs 成立学園高校
  • LINEで送る
 

ベスト8 EYES

春季東京都高等学校野球大会

2014-04-27

決勝

関東第一高校vs成立学園高校7 - 8

 

手に汗にぎるゲームという一言が当てはまる、決勝戦に相応しいゲームとだったが、試合自体は予想外の展開で進んだ。

疲れを考慮してか、両チームとも前日に投げたエースをマウンドに送らなかった。そういったことが、予想外の展開を生じさせたのか、2回成立学園はツーアウトから、6連打で一気に5点を挙げ試合の主導権を握った。

3回に関東一が2点を返すも、4回に成立学園の4番藤谷の2試合連続のツーランホームランが飛び出し、再び関東一を突き放す。関東一のスタンドもまさかという雰囲気に包まれ、完全に成立学園のペースで試合は進んだ。

ところが、である。関東一も6回に五十嵐(滉)のソロホームランで1点を返し、8回にはランナー2人を置き篠田がライトポール際へスリーランホームランを放ち、気がつけば1点差に。それまで楽勝ムードだった成立学園のスタンドの雰囲気が一気に変わるのがはっきり分かるほど、球場全体がもしかしてというようなピリピリしたムードに変わった。

そして、9回表関東一の先頭打者オコエが四球で歩くと、球場がどよめいた。ここで関東一が一気に仕掛ける。1塁ランナーのオコエがスタートを切ったのだ。キャッチャーからの送球は素晴らしくタイミング的にアウトに見えたが審判の両手は横に伸びセーフに。

この後、送りバントでランナーを3塁へ進め一打同点のチャンスを作る。続く打者は、昨年秋の東京都大会では4番を任せれ、二松学舎大附との決勝戦でサヨナラヒットを打ち優勝を決めた山口が打席に入り、関東一にとっては願ってもない場面に。しかし、この山口がこの日3つ目の三振に倒れる。

それでも関東一は粘りを見せ続く4番の五十嵐(滉)が歩きツーアウトランナー1、3塁に。ここで5番池田が放った鋭い打球はレフト線へ。成立学園スタンドからは悲鳴があがったが、池田の打球はフェアグランドへ入り、土壇場でついに関東一が同点に追いつき、さらに一気に逆転のチャンスを作ったのだ。

正直まさかという感じだった。完全に成立学園ペースだったことを考えると、関東一が同点に追いついたことが信じられなかった。

ここで打席に立った五十嵐(雅)が放った鋭いライナーの打球がまたしてもレフトを襲うが、今度はレフトの山崎が迷うことなく前進してそのままダイビングキャッチ。見事にギリギリの所でボールを掴んだのだ。この場面でスーパープレーが飛び出し、成立学園はなんとか同点で関東一の攻撃を凌いだ。

しかし驚きはこれだけではなかった。9回裏、今度は成立学園がツーアウトながらランナー1、2塁とサヨナラの場面を作り、1番の岩成へ回す。その岩成が放った打球はセンターへ抜けそうな打球となったが、今度は関東一の篠田がダイビングキャッチで岩成の打球を止め、2塁ベースへ入ったショートの五十嵐(雅)へトスしてサヨナラを防いだのだ。お互いスーパープレーでピンチを凌ぐという本当に手に汗握る試合となった。

延長戦となったこの試合、11回裏成立学園がツーアウトランナー2、3塁と再びサヨナラのチャンスを作る。ここで2番布施が放ったライナーの打球はレフトへ。成立学園の山崎が9回に見せたスーパープレーのフラッシュバックかと思うようなシーンだったが、途中出場のレフト大内のダイビングキャッチはわずかに届かず、成立学園がサヨナラ勝ちで初優勝を飾った。

この劇的な試合のポイントはやはり、9回の成立学園のレフト山崎の守備を挙げたい。打った瞬間、レフト前ヒットだと思うような鋭いライナーの打球に対し、少しの迷いもなく前進し、そのまま前へ飛び込んだのだが、スタートから捕球まで無駄な動きが一切なかったからこそ出来たプレーだった。

途中まで完全に試合を支配しながら土壇場で追いつかれ、試合の流れ的には完全に関東一に傾きかけていたが、このプレーが「まだいける」と成立学園のナインを勇気づけた意味でもとても大きなプレーだった。

決勝に残った両チームは、関東大会の切符を手にしているので、関東大会でも粘り強く戦い優勝を目指して頑張って欲しいと思う。

試合詳細はこちら